彩のクリニック
 
10. すい臓がんの話


 日本人の死亡原因の一位はがんですが、がんの中にも治るものと、まだまだ治療成績の悪いものがあります。かつては、胃がんが死亡原因のトップでしたが、93年からは肺がんが日本人の死亡原因のトップになりました。胃がんは検診で早期に発見でき、7割以上の人は手術で治ります。しかし、肺がんは手術可能な人は3割程度で、治らない人のほうが多いのが現状です。
 もっと治らないがんに、すい臓がんがあります。すい臓がんは、手術可能なひとが3割で、手術しても5年生きられる人は2割にも達しません。すい臓がんと診断されて5年生きられるひとは、1割にも満たないのです。医学がこれほど発達したのにもかかわらず、すい臓がんの治療成績が上がらないのはなぜでしょう。すい臓の場所を正確に答えられる人は少ないと思いますが、すい臓は胃の後側にあり、頭部は十二指腸、尾部は脾臓とつながっています。厚さは1cmに満たないほどで、笹かまぼこを細長くしたような臓器です。胃や大腸は内視鏡で直接みて診断できますし、肝臓や胆嚢は超音波で簡単に異常を見つけられます。しかし、すい臓は胃の後ろにあり、超音波ですい臓全体を観察することは難しく、胃のように内視鏡で直接見ることができません。
 現在では、造影剤を使用したCTですい臓を観察する方法がもっとも効果的であると言われています。また、MRIですい臓の中のすい管を調べることも有効であると言われています。血液検査ですい臓の腫瘍マーカーというものを調べます。このような検査を組み合わせて診断するのですが、実際にはこれらの検査を全員に行うことはできませんから、以下のような場合に行われます。@胃と背中が痛い。A超音波ですい管が少し太い。B血液検査でアミラーゼ、アルカリフォスファターゼ、CA19-9が高い。C糖尿の傾向がある。D大酒家などです。
 また、肝臓や腎臓にのう胞という水の入った袋があると言われた人は多いと思いますが、すい臓にものう胞があります。すい臓ののう胞は、肝臓や腎臓と違い、がんと関係する前がん状態ののう胞もあり、十分に検査しなければなりません。
 すい臓がんを無症状のうちに発見することは難しいのですが、すい臓がんを考えながら2cm以下のより小さなすい臓がんを発見することが大事です。ご心配な方は担当医にご相談ください

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